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お菓子と野生動物の関係

前回、ゾウの生息地が奪われているのは私たちの責任でもある、ということを書きました。

実は、日本人には(日本人にも、というべきか)とても関係が深いものです。



すでにご存知の方も多いと思いますが、アブラヤシというヤシ植物からとれるパーム油またはやし油。

2000年代の中ごろから、大豆に代わり食用油の生産量第一の原料となっています。

ありとあらゆるものに使われる、このパーム油。

加工食品(お菓子、マーガリン、即席めんなどなどなど)、洗剤、シャンプー、化粧品、紙製品

試しに、身近にある加工食品を見てみてください。

単に「植物油」とされていることも多いですが、「パーム油」と記載されていることも多いことがわかると思います。



パーム油は製造側では安定していて非常に使いやすいうえ、原産地側では成長が早く扱いやすいということで、需要と供給がマッチした商品であったのですが...

実は世界のパーム油のほとんどが、インドネシア(2840万トン)とマレーシア(1920万トン)で生産されています(RSPO ウェブサイトより)。

この2カ国で、世界中の人たちの加工食品、洗剤、シャンプー、化粧品、さらには安いティッシュなどを含む紙製品などなどなど、様々なものを賄うということは、それだけ巨大なアブラヤシ農園が必要だ、ということ。

両国で激しい伐採のためすでに劣化してきていた熱帯雨林も多く、あっという間にアブラヤシ農園に変わってしまいました。


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私がインドネシア視察に行った時の写真。上空から見ると、一面、アブラヤシ農園が広がっています。



なんと、現在この2カ国にあるアブラヤシ農園の55-60%が、もともと天然の熱帯雨林だったという推定があります(WWFウェブサイトより)。

そして、この二つの国の熱帯雨林というのは、世界でも有数の生物の多様性を誇っているのです。

つまり、その森に住んでいた生き物は、住むところを失ったということ。

もちろん、多くは死んでしまいますし、移動できる大型哺乳類も、火傷を負ったり、群れとはぐれてしまったり、野生では生きていけない状態になってしまいます。



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WWFウェブサイトより


この熱帯雨林の破壊の新たな原因としてのアブラヤシ農園と紙のための植林について、少し前に日本でも放映されたドキュメンタリー番組があります。

こちらのビデオですが、俳優のハリソンフォードがインドネシアのテッソニロを訪ね、温暖化の原因となっている森林破壊の現状をレポートしたものです。

残念ながら日本語の字幕付きのものが見つかりませんでしたが、最初の2分以内に焼き出され行き場のなくなったオランウータンの映像があります。

また、このテッソニロには、希少なスマトラゾウがいます。

野生での個体数はわずか2400~2800頭と推定され、2012年、とうとう、「近絶滅亜種」指定を受けました。

最も絶滅が心配されるレベルです。

そしてこのスマトラゾウの生息地は、消費国(つまり日本のような国)に、パーム油を使った製品や、安い紙製品を供給するためにさらにさらに狭くなっています。

日本語の参考サイト:http://www.wwf.or.jp/activities/2012/01/1041326.html


参考サイト:

http://greenpalm.org/about-palm-oil/where-is-palm-oil-grown-2

http://wwf.panda.org/what_we_do/footprint/agriculture/palm_oil/solutions/illegal_palmoil_tessonilo_sumatra_indonesia.cfm

http://wwf.panda.org/what_we_do/footprint/agriculture/palm_oil/environmental_impacts/forest_conversion/

http://www.iucnredlist.org/details/199856/0

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